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約一年半ぶり?! [小話]

お久しぶりです。これ言うの、何回目でしょう……。
リヴたちの世話は毎日欠かさずしてなのですが、
すっかり創作から離れていました。
 
ちょっと前に、新しいリヴをお迎えしまして、ノアという子なのですが、
まだちゃんと紹介できておらず。
 
擬人化立ち絵も描いていないしまつです。
描かなきゃ、でも、パソコン調子悪い……。
 
そんなこんななんですが、ひっさしぶりに妄想をしまして、SSを書きました。
 
ノアとラヴたちの、なんてことない出会いの話と、クリスマスちょっと前の、なんてことない日常です。
生活感、溢れまくってます。
 
もとはリヴなので、三人ではなく三匹と表現している箇所があります。
深い意味はないです。
 
それでは短いですが以下からどうぞ。
 
 
 
 
 
ノアとの出会い
 
 
 
 その日は旅館の仕事が休みで、ラヴィーナは図書館に来ていた。
 気になった本を適当に三冊ほど閲覧スペースに持って行き、夢中になって読んだ。午後二時から、三時間ほどそうしていた。午後五時頃になって、読み終わりそうもなかったために閲覧スペースを離れ、受付に向かっていると、途中で人とぶつかってしまった。
 
「きゃっ」
 
「わっ」
 
 本がバサバサと音を立てて床に落ちた。
 
「ごめん、大丈夫?」
 
 黒い髪に金色の瞳をした、青年とも少年ともつかない男性だった。
 なんとなくコバルトに似ていると思った。コバルトはラヴィーナの家の居候の写真家だ。相手はラヴィーナが落とした本を拾うのを手伝った。
 
「大丈夫よ、ありがとう。ごめんなさい」
 
「いや、僕がぼーっとしていたので……」
 
 ラヴィーナは直感的に思った。
 
「あなた、この辺の方じゃないのかしら?」
 
「あ、はい……。もともとホテル暮らしなんですが、ちょっと遠くまで来てしまって。あなたはこの辺の方?」
 
「ええ、そうよ。遠くまで来て、わざわざ図書館に? 少し変わっているわね……」
 
「ちょうど、その、粘菌について調べていたので、つい。ハハ」
 
 相手は少しためらいがちにこう言った。
  
「あの、この辺で安い宿を知りませんか? もうしばらくこっちにいたくて。でもあまりに無計画に出てきてしまったもので……ネットで探してもどこも予約がいっぱいで」
 
 ラヴィーナは少し考えた。
 
「実は私、旅館の仲居をやっているのだけれど……そこまで安くはないわね。それに、予約もいっぱいだわ。そうね、安いほうが良いの?」
 
「ええ、貧乏旅行なので」
 
「じゃあ、うちにいらっしゃいよ。部屋が空いているわ。タダで泊めてあげる」
 
 相手は目を丸くした。
 
「え、そこまでご迷惑は……」
 
「なんだかあなた、ほっとくと悪い人に騙されそう」
 
 どうやら図星だったらしく、相手は力なく笑った。
 
「なんなら、住んじゃっていいのよ。私はほとんど家にいないから、もてあましているの」
 
「見かけより年季を感じる発言ですね……」
 
「ラヴィーナよ。よろしくね」
 
「あ、僕はノアといいます」
 
 ラヴィーナは本の貸出手続きを済ませると、ノアと一緒に図書館を出た。
 少し話すと、ちょっとズレているところや、本が好きなこと、苦手なことなど意外と馬が合う。最初はよそよそしさもあったが、すぐに仲良くなった。
 ノアはフリーランスで動植物などをテーマにしたライターをやっているという。コバルトと気が合いそうだ。少しコバルトのことも話しておいた。
 ノアは、今日はとりあえずラヴィーナのお世話になることにして、明日の気分次第で荷物を取りに一旦ホテルに戻り、チェックアウトをすると言った。
 
「この辺は風情があっていいですね。新しすぎず、古めかしすぎず」
 
「そうでしょう」
 
 ラヴィーナは得意げに微笑んだ。
 
 
 
 家に着くと、ラヴィーナはコバルトにノアのことを説明した。
 家主はラヴィーナなので、コバルトは特に意見もしなかったし、嫌そうでもなかった。むしろ、快く受け入れてさえいるようだ。
 ラヴィーナのちょっとしたおせっかいに、自分も多少救われているからだ。
 
「僕はコバルト。蒼って呼ばれてる。よろしく」
 
「ノアです。こちらこそよろしくお願いします」
 
 コバルトは少し首を傾けた。
 
「君は……新しいきょうだいになるの?」
 
 ノアが何か言う前に、ラヴィーナが言った。
 
「まあ、そういうことね。あなたは弟。義きょうだいよ」
 
 ノアは困ったように苦笑いを浮かべた。
 
「わ、わあ、展開が早いなあ……」
 
「下町の人情というやつよ」
 
「えっと、蒼さんも弟なの?」
 
「兄よ」
 
「(なんでだろう)」
 
 ラヴィーナはおかまいなしに少しおどけて言った。
 
「言っちゃなんだけど、女の姉妹が欲しいわ……」
 
「ママに頼んでみたら?」とコバルトは茶化す。
 
「そうね、スナックのママに……って、なんでやねん! 未成年、未成年!」
 
 ノアはくすりと笑った。賑やかで、悪くない。もっとおしとやかな人かと思えば、ノリツッコミもするのかと感心した。
 
「さ、家の中を案内するわ。あ、お夕飯はまだかしら?」
 
 ノアは「あ、はい」と頷いた。
 
 ラヴィーナの家は木造の平屋で、南側の玄関から入って右手に応接間、正面に取次がある。取次の奥にはダイニングキッチンと納戸、左手には四つの和室が田の字に隣り合って接している。
 ダイニングキッチンからは、廊下に出てラヴィーナの寝室や洗面所、風呂場へ行けるようになっている。トイレは四つの和室の左手側に、廊下を挟んである。
 四つの和室の左下は座敷で、右下は中の間、右上は仏間、左上はただの和室でコバルトが使っているらしい。
 確かに、一人で住むには少々手広かもしれない。
 ノアは仏壇などは置かれていない、本来仏間である右上の部屋に通された。
 六畳くらいの和室だ。ノアは床の間というものを初めて見た。棚があり、時計やこけし、張り子などの置物が置かれていて、左手の床脇には掛け軸が下がっている。
 使われていない様子だが、掃除は行き届いている。
 
「夕飯までごゆっくり。今お茶をお持ちするわね。あ、お布団も必要ね」
 
 ラヴィーナは静かに障子を閉めた。仕草から職業病が垣間見えた気がした。
 ここに住む……か。拠点にするには悪くない。なんだか、懐かしい感じがする。帰る場所があるなんて、素敵じゃないか。
 ノアはすっかりその気になっていた。
 こうして、ノアを迎えた三匹の、なんてことない日常が始まった。
 
 
 
END
 
 
 
というわけで、次の記事はちょっと時間が経ってクリスマスシーズンに続きます。
ここまでお読みくださってありがとうございました。
 

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